スマートフォン向け会話支援アプリ「Messay」の紹介

[2024年5月配信]

今回は、大阪に本社がある日新電機工作株式会社が開発したスマートフォン向けコミュニケーションアプリMessay(メッセイ)について開発者の方々に話を聞きましたので、その内容を紹介します。

 

開発元の日新電機工作株式会社は1945年に大阪で創業し、メーカー製の特高・高圧機器の販売、高低圧配電盤の設計・製作・設置工事、ソフトウェア開発などを行っている会社です。
 

Messayは、20代の若手社員2名が中心となり開発を進めています。月2,400円で利用できる会話アプリ「Messay」に加え、月1,500円で利用できるYouTube閲覧専用アプリ「Tube for Anyone」(チューブ フォー エニワン)を開発し、リリースしています。
現在、Messayは英語版もリリースされており、世界およそ50か国で利用されているそうです。

 

幸田:Messayを開発しようと思われたきっかけは何ですか。

開発者:弊社の社員の家族の方が寝たきりになり、コミュニケーションが取れなくなってしまいました。しかし、目で何かを訴えようとしていることは、はっきりわかるため、「目を使ってコミュニケーションが取れたら幸せなことではないか」という思いから、開発に着手しました。
 

幸田:Messayの特徴を教えてください。

開発者:最大の特徴は、特別な機器を使わず、顔認証が搭載されているAndroid端末またはiOS端末にMessayをインストールするだけで使えることです。各端末にもともと搭載されている機能を使っているため、Android端末は顔を動かして、iOS端末は目を動かして操作します。
例えば、顔を動かす操作の場合は、顔を上下左右に動かしながら画面上のカーソルを移動し、瞬きをして決定します。
目を使った操作は二通りあります。
一つ目は、画面上を自動的に移動するカーソルを目で追い、目的の項目を選択したら、瞬きをして決定する操作です。
二つ目は、視線を移動させながらカーソルを動かし、目的の項目を選択したら、一定時間注視して決定するものです。
これらの操作により、あらかじめ指定された「かゆい」「寝たい」「大丈夫」などの言葉を選択し、端末の音声で流すことができるほか、キーボードから自由に単語や文章を入力し、端末の音声で流すこともできます。
また、家族などの支援者のサポートが必要ですが、頻繁に使用する言葉や画面を注視する時間、カーソルの移動速度など、当事者が使いやすいようにカスタマイズすることができます。
 

幸田:Messayを開発されるにあたり、苦労された点はありますか。

担当者:苦労は限りなくあります。
一つ目は、アプリのユーザーとして想定している寝たきりでコミュニケーションが難しい方が身近にいなかったため、手探り状態での開発が続いたことです。作っているものが実際に使えるものなのか、不安を抱えながら開発に打ち込む日々が続きました。まさしく、暗中模索でした。
二つ目は、アプリのテスター探しです。アプリがある程度できたところで、病院などで当事者に試していただくのですが、弊社が電機系統の会社ということもあり、病院など福祉的機関とのつながりがありませんでした。小さなつてを頼りに協力してくださる病院などを探し、ゼロから関係を築き上げていきました。
三つ目は、アプリの定着性です。まず、アプリの設定などを行う支援者にとって操作しやすいものであるか、そのうえで、当事者にとって負担なく使えるものであるのか。この二つの点を満たさないと継続して使用してもらえないのです。この双方の用件を満たすことが難しかったです。
四つ目は、アプリの操作性の確立です。思い込みで作っても、当事者にとっては使いにくいということが何度もありました。当事者の意見を繰り返し聞き、改良を重ねながら作り上げていきました。
利用者のニーズを伺いどう柔軟にカスタマイズしていくのか、複雑にし過ぎないようにするにはどうすればよいのか、今も考え続けています。
 

幸田:今後、Messayをどのように展開していきたいと考えられていますか。

担当者:Messayの開発当初は末期がんの方やALS(筋萎縮性側索硬化症)の方、筋ジストロフィーの方を主な対象としていました。しかし、工夫すれば、パーキンソン病の方やくも膜下出血の方など様々な要因でコミュニケーションを取ることが難しくなった方にも使っていただける可能性があることがわかりました。
多くの方に使っていただくためには、シンプルで使いやすい設計にする必要があります。現在のバージョンでは、視線を使って画面上のキーボードから文字を入力するには慣れが必要です。目の動きをより正確にとらえて、もう少しスムーズに入力できるよう、精度の改善に取り組んでいます。
発話や筆談での会話が難しい方々のコミュニケーションツールとして多くの人に使っていただけるようにMessayを成長させていきたいと思っています。

 

【インタビューを終えて】

インタビューを通じ、2名の開発者のMessayに対する熱い思いが伝わってきました。高価な機器を購入する必要がなく、手持ちのタブレットのみで操作できる点が魅力的です。開発者によると、より良いものを作り、多くの人に使っていただけるように改善したいところがたくさんあるそうです。若い開発者たちの斬新なアイディアにより、今後Messayがどのように発展していくのか楽しみです。

 

【参考】

今回もインタビュー風景を掲載しました。
ご興味のある方は、下記URLにアクセスしてご覧ください。

http://www.itsapoot.jp/mailmaga/interview202405-1.html

 

【関連サイト】

日新電機工作株式会社

https://www.ndk-group.co.jp/

 

Messay (iOS版)

https://apps.apple.com/jp/app/messay/id1585732513

 

Messay (Android版)

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.ndk_group.messay&hl=ja&gl=US

 

Tube for Anyone (iOS版)

https://apps.apple.com/jp/app/tube-for-anyone/id1658678517

 

Tube for Anyone (Android版)

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.ndk_group.messaytube


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