KDDI株式会社と大阪府ITステーションが合同でスマホ教室を開催

[2024年4月配信]

令和6年2月28日(水)にKDDI株式会社と大阪府ITステーションが合同で初心者を対象とした「視覚障がい者向けスマホ教室」を開催しました。

令和4年12月に大阪府とKDDI株式会社が結んだ包括連携協定に基づき実施したものです。

 

講習は2部構成で行われ、計3時間の講義形式で実施されました。第1部をKDDI株式会社が、第2部をITステーションが担当しました。

今回は、iPhoneを使用して2名の視覚障がいのある方と、大阪府の職員1名がアイマスクを付けて体験参加しました。

第1部、第2部共に講義の進行を行うメイン講師1名と受講者の操作をサポートするアシスタント講師が1名ずつ付く形で実施し、受講者が自分のペースでゆっくりと学べる体制を取りました。

 

第1部のKDDI株式会社の「KDDI視覚障がい者向けスマホ教室」では、KDDI関西総支社のI講師の進行の下、VoiceOver(ボイスオーバー・iPhone用画面読み上げ機能)の基本ジェスチャー、音声アシスタントSiriの利用、電話のかけ方、ラジオの再生、メッセージの送受信、Seeing AI(OCRアプリ)の使い方などの体験が行われました。

Siriの紹介では、天気や現在の時刻などを尋ねながら情報を得たり、しりとりをしたりしながらSiriとの会話を楽しんだり、電話帳に登録している人に電話をかけてiPhoneを操作したりするなど、Siriの便利な機能の紹介が行われました。

ラジオの再生では、ニュースを聞いたり、現在放送されている番組を視聴したりと、ラジオの世界を楽しむことができました。

Seeing AIを使った操作では、チラシなどの印刷物やレトルトカレーの商品パッケージなどを読み、記載されている情報を確認していました。

「ニュースが流れてきました。」「商品パッケージも読めるのですね。」 アシスタント講師のサポートを受けながら楽しそうにiPhoneを操作する声が飛び交っていました。

 

第2部のITステーションの「職場で役立つ便利なスマホ活用」では、ITステーション職員の幸田がメイン講師を、ITステーションの職員がアシスタント講師を勤めました。講習では、ものタグ(物の管理アプリ)の紹介、NaviLens(ナビレンス・道案内アプリ)の使い方、FaceTime(フェイスタイム・ビデオ電話アプリ)のデモを行いました。

ものタグの紹介では、タグの読み取り、タグの取り付け、タグへの録音を行い、ものタグを使う際の一連の作業を体験しました。

NaviLensの使い方では、教室内に貼った「エレベーター」「下り階段」「休憩室」などのナビレンス専用タグを読み取り、読み取ったタグまで歩き、どのように誘導されるのかを体験してもらいました。

FaceTimeのデモでは、掲示されているチラシをiPhoneのカメラで映し、別の場所にいるITステーション職員にFaceTimeを通して読み上げてもらうことで、FaceTimeを使えば、離れている人にサポートを依頼できること、人の目で読んでもらうことでより正確に印刷物の内容を理解できることを紹介しました。

 

1部、2部を通して3時間という長い講習でしたが、受講者は、充実した様子で楽しそうにiPhoneを操作されていました。

 

さて、今回の講習、講師や受講者はどのように思われたでしょうか。

まず、KDDI関西総支社のI講師にKDDI株式会社が視覚障がい者向けスマホ教室を開催されるようになった経緯や今回の講習の感想を聞きました。

 

「弊社では、情報格差の解消を目的に地域のデジタルデバイド解消の支援を行っています。
その中で、視覚障がいのある方のデジタルデバイド解消の重要性と関心の高まりを受け、初めてスマホに触れる方にスマホの楽しさや便利さを体感していただくことを目的に視覚障がい者向けスマホ教室を開催しています。
今回の講習も視覚障がいのある方を対象にトライアル講習を開催し、参加者からご意見をいただき、初めてスマホを持つ方にも楽しみやすい講習を意識して作り上げていきました。講習の進行を担う講師は、受講者にわかりやすい説明を心がけ、アシスタント講師は、アイマスクを付けてVoiceOverの操作練習をするなど、視覚障がいのある方に分かりやすい伝え方や接し方等を工夫しながら行っています。
また、通信会社ならではの工夫として、受講後に希望者へ一定期間スマホの貸し出しを行い、講習の復習をしていただける環境を整えています。
ITステーションでの講習が関西初となりましたが、これを機に、全国の自治体や関係機関と連携した講座開催を検討していきたいと考えています。」

I講師は、今回初めて講習のメイン講師を担当されたそうです。講習を終えられた感想をうかがったところ、「受講者の感想に励まされた」と話してくださいました。

 

では、受講者の感想はどうでしょうか。

一人目はAさんです。Aさんは現在ガラケーを使用しており、iPhoneは使われたことがないそうです。

「第1部で教えていただいた電話に出る操作は思ったより簡単でした。iPhoneでどのように電話に出るのか疑問に思っていたので、教えていただけて嬉しかったです。また、Seeing AIを使って印刷物が読めることが分かり、良かったです。自分で書類が読めれば、ヘルパーさんが来るまで待つ必要がなく、自分で書類の仕分けができるのでありがたいです。
第2部で紹介されたナビレンスは建物内のポイントとなる場所に貼られていると移動がスムーズになり、便利だと思いました。
また、ものタグは、お気に入りの服の管理に役立ちそうです。今は、色違いの服などはどちらかというと嫌いな色の服にしるしをつけて見分けていたので、そういうことをしなくて済むのでいいですね。
講習を受けて、自分がiPhoneを持つイメージを抱くことができました。」

 

続いてBさんに聞きました。BさんはiPhoneを使用されていますが、操作法などは習ったことがなく、今回基礎から学びたいという思いから受講されました。

「第1部では、Siriを使用してメッセージを送受信したり、iPhoneでラジオを聴いたり、Seeing AIで郵便物のあて名を読むなど、日常生活に役立つものばかりを教わりました。
また、第2部のものタグはタグが3種類もあり、衣類やファイルの整理に便利だと思いました。身の回りの物を自分で整理できるのでとても魅力的です。
ナビレンスは、操作が少し難しかったですね。FaceTimeは使えると便利だと思いました。
AIでの文字認識も良いですが、人に見てもらうことで細かい情報を正確に聞けるのでより理解しやすいと思いました。
知らなかったアプリもあり、活用できると日常生活がもっと豊かになると思いました。」

 

基礎からゆっくりと学べたことで、受講者の皆さんにiPhoneの便利さと魅力が伝わったようです。

 

最後にアイマスクをつけてiPhoneの操作をしていただいた大阪府の職員Yさんにも感想を聞きました。Yさんは普段iPhoneを使用されているそうで、今回初めて視覚障がい者の疑似体験をされました。

「普段目で多くの情報を得ていることを実感しました。その分、しっかりと話を聞かないといけないので、ものすごく頭を使いました。耳でしか情報を得ることができなかったので、言葉の意味が分からないと不安になりました。
また、沈黙になると、何が起こっているのか心配になるので、他愛もない話が安心感につながるのかなと思いました。
アプリを一つ開くのも時間がかかり、正しいところを押しているのか不安になり、また、普段しないスワイプやタッチなどの動きが必要だったため、習得するのに時間がかかりました。一つ一つ時間はかかりますが、その分、できた時の喜びは大きかったです。
アシスタント講師が丁寧に教えてくださったので、安心して講習を受けることができました。」

 

今回の講習を通し、改めて視覚障がいのある方へのデジタルデバイドの解消の重要性を感じました。
私自身iPhoneを使用して、日常生活が大きく変わりました。自分で印刷物が読めて書類の仕分けができる、テレビの字幕がリアルタイムで読める、天気やニュースなどの情報がすぐに手に入る、ネットショッピングで簡単に物が買えるなどなど。それまで一人ではできなかったことがiPhone1台でできるようになり、世界が広がったと同時に、大きな喜びがありました。
この講習のように官民が協力して障がいのある方のデジタルデバイド解消の動きが広がればと思います。

 

【参考】

今回も講習の風景を掲載しました。
ご興味のある方は下記URLにアクセスをしてご覧ください。

http://www.itsapoot.jp/mailmaga/SmaphoSeminar.html


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