うめきたエリアでのナビゲーションシステム「シカイ」の体験

[2023年4月発行]

3月18日にオープンしたJR大阪駅のうめきたエリアには、顔認証で通り抜けられる自動改札機や電車の種類によってドアの位置が変わるホームドアなど、様々な最新テクノロジーが導入されています。
視覚障がい者向けナビゲーションシステム「シカイ」もその中の一つです。
 

「シカイ」は、点字ブロックの警告ブロック上に貼られたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで道案内が行われるiOS向けのナビゲーションシステムです。
そこで、さっそく体験に行ってきましたので、その様子を紹介します。
 

また、今回リンクス株式会社の小西様に「シカイ」についてインタビューをしました。インタビューの内容は大阪府ITステーションのホームページに掲載しています。「シカイ」ができるまで、駅などに「シカイ」を導入する際のご苦労、今後「シカイ」を広げていくために必要なことなどなど、「シカイ」について熱く語ってくださいました。
本記事の末尾にURLを記載していますので、ぜひご覧ください!
 

「シカイ」を利用するには、下記の手順で行います。
① 「シカイ」アプリの起動
② 点字ブロックの警告ブロック上に貼られているQRコードを読み取る
③ 目的地の選択
④ 「シカイ」の道案内に従って歩く
 

今回は、下記の2つのルートを「シカイ」の案内を頼りに一人で歩いてみました。
① 西口改札からうめきたエリアにある21番・22番ホーム
② 21番・22番ホームから大阪環状線の1番・2番ホーム
 

大阪駅はよく利用しますが、うめきたエリアにはまだ行ったことがありません。 初めての場所で、迷うことなく、一人で目的地にたどり着くことができるのか、ちょっとドキドキしました。
 

「シカイ」の初期設定では、スマートフォンの背面カメラで警告ブロック上のQRコードを読み取ります。
道案内を開始したい場所で警告ブロックの近くに立ち、スマートフォンのカメラを床に向けるだけで、瞬時にQRコードが読み取られました。
QRコードが見えていなくてもきちんと読み取ることができるのか不安でしたが、認識率がかなりよく、安心しました。
 

QRコードを読み取ると、画面上に目的地の一覧が表示されるので、行きたい場所を選択し、決定します。

目的地がセットされると、下記のような案内が流れます。
「目的地までは196mで、26地点経由します。右8m」
目的地までの距離と経由地点(経由する警告ブロックの数)、進むべき方向が案内されるので、後は、ナビに従って点字ブロック沿いを歩くだけです。
 

背面カメラを下に向けた状態でスマートフォンを握り、点字ブロック沿いに歩き進めて行くと、経由地点である点字ブロックの警告ブロックに近づく度にQRコードが読み取られ、「直進」「右」「左」などと進むべき方向がガイドされます。
誤った方向に進んだ場合は、「コースを逆走しています。来たルートを戻ってください。後退6m」などと教えてくれるので安心です。
 

階段がある場合は、階段の一つ手前の経由地点に着くと、下記のような案内が流れ、事前に階段があることが知らされるので、心の準備ができます。
「直進4m。この先上り階段です。」
また、階段の手前にたどり着くと下記のような案内が流れ、段数と踊り場の数を知らせてくれます。
「前方に上り階段です。28段上ります。途中踊り場が一つあります。」
 

きめ細やかな案内が行われるので、歩いていても安心です。
案内通りに歩いていくと、あっという間に目的地に到着しました。
目的地に到着すると、下記のような案内が流れます。
「目的地に到着しました。前方に1番・2番乗り場に繋がる上り階段があります。これで案内を終了します。ホーム上の案内はありませんので、注意してご利用ください。」
ここで「シカイ」の道案内は終了です。
 

全体的に分かりやすい案内で、指示に従って歩くと、迷うことなくスムーズに目的地に着くことが出来ました。初めての場所で、どの道をどう通ったのかはちょっと分かりませんが、一人で迷うことなく目的地に着くことができ、うれしく感動しました。
 

「シカイ」には、目的地までの道案内の他に、安全に歩けるよう、状況に応じた様々な情報が組み込まれています。
例えば、うめきたエリアにある70段もある長い階段は、場所により道幅が狭くなっており、やや歩きにくい構造です。この場合、下記のように案内されます。
「前方に上り階段です。70段上ります。途中、踊り場が3つあります。途中で階段の道幅が変わります。ご注意ください。」
 

他にも下記のように場所の状況に合わせた案内が組み込まれています。
「直進7m。人の流れを横切るので、ご注意ください。」
「直進5m。点字ブロックが途中で左に曲がります。」
上記の案内は一例ですが、周囲の状況を伝えてくれる案内があることは、本当にありがたいですね。
これらの詳細な情報は、「シカイ」の開発チームの皆さんが実際に駅に行き、人の流れを観察したり、駅構内の構造を調査したりしたうえで、安全に歩けるように情報として一つ一つ組み込んでくださっています。
「シカイ」開発チームのみなさんからの「ラブレターメッセージ」が嬉しいですね。
 

初めての場所でも一人で迷うことなく目的地までたどり着くことができる。「シカイ」がもっと多くの場所に導入されることを心から願います。
 

【同行した職員からの感想】
今回の体験は、利用者が比較的少ない時間帯でした。うめきたエリアは、大阪の玄関口になりますから、乗り継ぎの利用者が多く、こうした利用者は、てきぱきと移動する必要があるため、人の流れが多くなる時間帯もあり、視覚障がい者の導線とクロスする場合も多いと思います。
したがって、接触事故の危険回避のためには、視覚障がい者だけでなく、他の利用者へのシステムの周知も欠かせないものだと感じました。
 

【リンクス株式会社 小西様へのインタビュー】
ぜひご覧ください!
http://www.itsapoot.jp/mailmaga/interview202304.html

【動画】 上記ページにて実際にうめきたエリアで「シカイ」を使って歩いた動画を掲載しています。
 

【「shikAI」はiPhone・iPadでAppStoreからダウンロードできます】
https://apps.apple.com/jp/app/shikai/id1542150781
 

【「シカイ」開発元リンクス株式会社】
https://www.linkx.dev/shikai
 


関連ページ「大阪駅うめきたエリアでのshikAI(シカイ)設置の紹介」に戻る

  • 講習会やイベントのお知らせ等をお送りします メールマガジンのページへ移動する
  • 幸田麻由の職場レポートのメニューに移動する