[2022年6月配信]
今回は、6月8日(水)から10日(金)の3日間インテックス大阪で開かれていた「バリアフリー展2022」に行ってきましたので、その内容を2回に分けて紹介します。
(関連する写真は、ホームページでもご覧いただけます。URLはこの記事の最後にご案内しています。)
前半は、「目の見えない方・見えにくい方のための展示コーナー」で見てきたもののうち、2つのブースで展示されていたものを紹介します。
「目の見えない方・見えにくい方のための展示コーナー」では14社が出展し、視覚障がい者向けの支援機器や用具が展示されていました。
今回1つ目に紹介するのは、「リモートアシスト」です。
ここでは、遠隔援護サービスの紹介とデモが行われていました。
このサービスは、スマートフォンに接続された専用のカメラで映し出されたものをボランティアの方に見てもらうというものです。
実際にカメラが取り付けられたカチューシャを付けると、専用のカメラが斜め下向きでおでこの中央に位置するようにセットされます。この状態で、カメラのスイッチを押すと、自動的にボランティアの方につながります。
カメラで映し出された物の位置を調整する必要がないため、見てほしいものをスムーズに見てもらえ、音声で説明を受けることができました。
2つ目は、「コネクトドット」です。
ここでは、スマートフォン向けアプリ「Tag of Things ものタグアプリ」(以下「ものタグアプリ」)が紹介されていました。
このアプリは、専用のNFCタグ(※)に文字や声で情報を登録することで、アプリを起動してスマートフォンをタグにかざすだけで、タグに登録した内容を確認できるアプリです。これにより、手触りだけではわかりにくい物の管理がスムーズにできるようになります。
今回私が試したのは、スケジュール管理などに使える新しいタグ、「仮想タグ」機能です。
これは、ものタグアプリ内にあらかじめ作成されたスケジュール帳を開き、そのスケジュール帳内の仮想のタグ(アプリ内に保管されているタグ機能)の中に文字や声で予定を登録し、スケジュールを管理する機能です。
スケジュールは必要に応じて、ものタグアプリを使用している人と共有することができます。使い方も簡単でスケジュール管理には便利だと思いました。
今回は、視覚障がい者向けの展示品について2つ紹介しました。
次回は肢体不自由者向けの展示品と今回のバリアフリー展で私が最も興味深いと思ったものを紹介いたします。
最後に、今回のバリアフリー展の一部を写真でご紹介します。ご興味のある方は、下記のサイトからご覧ください。
URL:http://www.itsapoot.jp/mailmaga/barrierfree2022.html
【記事紹介企業URL】
・株式会社リモートアシスト
・株式会社コネクトドット
(※)NFCとは…「近距離無線通信」という意味で、鉄道会社のICカードを自動改札機にタッチするときなど、今や私たちの身の回りでもよく使われている通信技術の規格の1つ。
[2022年7月配信]
6月8日(水)から10日(金)の3日間インテックス大阪で開かれていたバリアフリー展2022行ってきましたので、今回は、6月号に引き続きその内容を紹介します。
この後編では、肢体不自由者向けの支援機器と今回のバリアフリー展で私が最も興味深いと思ったものを紹介します。
まず、株式会社日立ケーイーシステムズのブースです。
ここでは、重度障がい者用意思伝達装置「伝の心」が展示されていました。
伝の心は、身体機能に合わせたスイッチや別売の視線検出式入力装置を使い、メールの送受信やLINE(ライン)の利用、ウェブページ閲覧などができます。さらに、機器付属のリモコンの赤外線信号を学習リモコン(テレビやエアコンなどの複数の機器のリモコンの信号を学習させることで1台のリモコンで登録した複数の機器を操作することができるもの)に登録することで、伝の心を使って様々な機器を操作することができるようになります。
事前に基本情報の設定は必要ですが、これ1台でコミュニケーションが取れ、知りたいことが調べられ、家電が操作できる点は非常に便利だと思いました。
続いて、一般社団法人日本支援技術協会のブース「ICT広場」に行きました。ここでは、タブレット端末やスマートフォンなどを使いやすくするスイッチ類や、音声や筆談によるコミュニケーションが苦手な人のために開発されたiPad用アプリの「トーキングエイドfor iPad」などが展示されていました。
最後に、今回のバリアフリー展で私が最も見たかった展示品を紹介します。
「目の見えない方・見えにくい方のための展示コーナー」で展示されていた株式会社Ashiraseの視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム「Ashirase(アシラセ)」です。
これは、インソール型の道案内デバイスで、Googleマップと連動し、曲がり角や進行方向などを足のつま先、甲、かかとの3か所に接するセンサーから出される振動を頼りに道案内をする機器です。
今回初めて実際の商品を見ました。思ったより軽量で薄く、振動もはっきりしているので、分かりやすいと思いました。
通常、スマートフォンの道案内アプリを使うには、片手にスマートフォンを持つ必要があります。この場合、白杖などを持っていると、両手がふさがってしまったり、また、雨天時は傘を使用すると両手が ふさがり、スマートフォンを手に持って歩くことができません。
さらにスマートフォンのアプリの多くが音声ガイドで道案内を行うため、音声ガイドに集中し過ぎ、周囲の必要な音を聞き漏らしてしまう危険があります。
一方、Ashiraseはインソール型のデバイスのため、手に持つ必要がなく、また、ガイドも振動で伝えられるため、周囲の音を聞き漏らすことがなく、より安全に歩けると思いました。
この商品は、現在開発中とのことですが、実際に発売されたらぜひ使ってみたい商品だと思いました。
他にもいろいろなブースを見て回りましたが、聴覚障がい者向け支援機器の展示がなかったことは残念でした。また、全体的にベッドやお風呂、おむつなど介護用品が多く展示されており、「バリアフリー展」で障がい者向けの支援機器や用具の展示が少ないのは少し寂しい気がします。
【記事紹介企業URL】
・ 株式会社日立ケーイーシステムズ
・ 一般社団法人 日本支援技術協会
・ Ashirase(あしらせ)公式ウェブサイト